「デーモンコア(悪魔のコア)」——その不気味な名前には、2度にわたって人の命を奪ったプルトニウムの塊という、重い歴史が刻まれています。第二次世界大戦末期から戦後にかけて行われた核実験の中で、このコアは2人の優秀な科学者の命を奪いました。
この記事では、デーモンコアとは何か、どのような実験が行われ、なぜ事故が起きたのかを、できる限りわかりやすく解説します。科学の進歩の裏に潜む人間的なドラマと教訓を、一緒に見ていきましょう。
デーモンコアとは?実験の前提をわかりやすく整理
デーモンコアとは、アメリカのマンハッタン計画で製造されたプルトニウム239の球体(直径約8.9cm、重量約6.2kg)のことです。第三の原子爆弾に使用される予定で製造されましたが、日本への投下前に終戦を迎えたため、実験用として使われることになりました。
プルトニウムは、一定量以上が集まると「臨界状態」と呼ばれる核分裂連鎖反応が自発的に始まる性質を持ちます。臨界状態になると大量の放射線が放出され、近くにいる人間は致死量の被曝を受けます。デーモンコアは、まさにその臨界のギリギリを探る実験に使われた物体です。
「デーモンコア」という名前は、2度の死亡事故の後に研究者たちによってつけられた呼び名です。事故前は単に「コア」と呼ばれていました。
引用:Los Alamos National Laboratory 公式記録 / Richard Rhodes “The Making of the Atomic Bomb”
デーモンコアが使われた実験の背景と目的をわかりやすく解説
デーモンコアが使われた実験は、「臨界実験(クリティカリティ実験)」と呼ばれるものです。核兵器の設計において、どれだけ核物質を近づけると臨界状態になるかの限界値を把握することが目的でした。
この実験は非常に危険なため、「悪魔の尾へのくすぐり(Tickling the Dragon’s Tail)」とも呼ばれていました。科学者たちは反射材(中性子を跳ね返す素材)をコアに近づけることで、意図的に臨界に近い状態を作り出し、そのデータを収集していました。
当時のロスアラモス研究所には世界最高レベルの科学者が集まっていましたが、核エネルギーの扱いに関する安全基準はまだ十分に整備されていませんでした。その空白が、後の悲劇につながります。
1945年:デーモンコアで起きた最初の臨界事故をわかりやすく解説
1945年8月21日、物理学者ハリー・ダリアンがデーモンコアの臨界実験中に事故を起こしました。
ダリアンは炭化タングステンのブロックをコアの周囲に積み重ねて反射材として使用していました。誤って最後のブロックをコアの真上に落としてしまい、瞬間的に臨界状態が発生。青白い光(チェレンコフ放射)が放たれ、大量の放射線が室内に広がりました。
ダリアンはとっさにブロックをどかしましたが、すでに致死量の放射線を浴びており、25日後に死亡しました。享年24歳でした。同室にいた他の研究者数名も被曝し、健康被害を受けました。
1946年:デーモンコアで起きた2度目の実験事故をわかりやすく解説
最初の事故からわずか9ヶ月後の1946年5月21日、同じデーモンコアが再び事故を引き起こしました。今度の犠牲者は、カナダ出身の物理学者ルイス・スローティンでした。
スローティンは、球形の反射材(ベリリウム半球)をコアに近づけることで臨界に近い状態を作る実験を行っていました。このとき、本来は適切な固定器具を使うべきところを、ドライバー1本で半球を支えながら作業するという非常に危険な方法をとっていました。
ドライバーが滑り、反射材がコアに触れた瞬間、青白い光が閃き臨界状態が発生しました。スローティンは即座に反射材を素手で引きはがし、同室にいた7名の被曝を最小限に抑えました。しかし自身は致死量をはるかに超える放射線を浴び、9日後に死亡しました。享年35歳でした。
スローティンの咄嗟の行動は、同僚たちの命を救った英雄的行為として語り継がれています。
引用:Los Alamos National Laboratory “LA-13638” / Wellerstein, A. “The Demon Core” (2016)
デーモンコアの実験事故はなぜ起きたのか?原因をわかりやすく分析
2度の事故に共通する原因を整理します。
①安全基準・手順の未整備
当時の核実験は、安全マニュアルが十分に整備されておらず、研究者の判断や経験に依存していました。危険な実験が「日常業務」のように行われていたのです。
②「慣れ」による油断
スローティンはドライバー1本での作業を繰り返し行っており、「これまで大丈夫だったから」という慢心があったとされています。危険な環境に慣れることが、最も大きなリスクになるという教訓を示しています。
③核物質の性質への理解不足
プルトニウムの臨界特性についての知識はあっても、それがいかに急速に、いかに致命的に発現するかという実感が、実験者に十分に共有されていなかったとも分析されています。
デーモンコアの事故が核開発の安全基準に与えた影響をわかりやすく解説
デーモンコアの2度の事故は、核開発における安全管理の歴史を大きく変えました。
事故後、ロスアラモス研究所では臨界実験のあり方が根本から見直され、「遠隔操作による実験」が義務化されました。研究者が直接手を触れて行う臨界実験は全面禁止となり、機械的な制御装置を使った安全な手順が確立されました。
また、放射線被曝の記録・管理体制も大幅に強化されました。デーモンコア自体は、その後1946年の核実験「クロスロード作戦」で使用され、海中での核爆発実験の核として消費されました。
引用:U.S. Department of Energy, “A Review of Criticality Accidents” (2000)
デーモンコアの実験が現代に問いかけるもの
デーモンコアの悲劇は、単なる過去の出来事ではありません。「最先端の科学者たちでさえ、慢心と手順の軽視によって命を落とした」という事実は、現代のあらゆる技術開発の現場に通じる教訓を持っています。
AI・遺伝子工学・核エネルギーなど、現代においても「人類が初めて触れる力」は数多く存在します。その力を扱う際に必要なのは、知識だけでなく、謙虚さと安全への敬意です。
また、デーモンコアの事故で命を落とした若き科学者たち、彼らの死を「過去の失敗」として消費するのではなく、命をかけて得られた知識として受け継ぐことが、現代に生きる私たちがすべきことです。
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