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ラッコが絶滅危惧種になった理由とは?水族館での現状・法律規制をわかりやすく解説!

かつては日本の水族館でも人気者だったラッコ。しかし近年、水族館でラッコを見られる機会が急激に減っています。「ラッコが見たいのにどこにもいない…」という声も増えており、その背景には絶滅危惧種としての保護規制・国際条約・繁殖の難しさなど、複雑な事情が絡み合っています。

ラッコが絶滅危惧種になった歴史・日本の水族館でラッコが減った理由・法律による規制の内容まで、わかりやすく解説します。

ラッコはなぜ絶滅危惧種になったのか?個体数減少の歴史

ラッコ(学名:Enhydra lutris)は北太平洋沿岸——アラスカ・カリフォルニア・ロシア・北海道周辺——に生息するイタチ科の海生哺乳類です。ふわふわとした毛並み・貝を石で割って食べる愛らしい習性から「海の宝石」とも呼ばれ、世界中で人気の高い動物です。

しかしラッコは現在、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種(Endangered)」に分類されており、世界全体の野生個体数は推定約10万〜12万頭程度とされています。かつては数十万〜数百万頭が生息していたと推定されており、その減少の歴史は深刻です。

毛皮目的の乱獲(18〜20世紀)

ラッコの毛皮は哺乳類の中で最も密度が高い毛を持つとされており(1平方センチメートルあたり約10万本以上)、その保温性・光沢から「海の黒いダイヤ」と呼ばれるほど高値で取引されました。18世紀後半から20世紀初頭にかけて、ロシア・アメリカ・日本などの毛皮商人による乱獲が横行し、20世紀初頭には世界全体で数千頭程度にまで激減したとされています。

1911年の国際条約による保護

乱獲による絶滅の危機を受け、1911年に「北太平洋海獣保護条約」がアメリカ・イギリス(カナダ・オーストラリア代表として)・ロシア・日本の4カ国によって締結され、ラッコの商業的な捕獲が禁止されました。この条約によって個体数は徐々に回復しましたが、完全な回復には至っておらず、現在も絶滅危惧種の指定が続いています。

現代の脅威

現代においてもラッコへの脅威は続いています。

  • 石油流出事故:ラッコは毛皮の間に空気を溜めることで体温を保つため、石油で毛皮が汚染されると体温調節ができなくなり死亡するリスクが高い。
  • 漁業による混獲(ぎょぎょうによるこんかく):漁網に誤って絡まって溺死するケースがある。
  • シャチによる捕食:アラスカなどでシャチがラッコを捕食するケースが増加しているという報告がある。
  • 感染症・環境汚染:水質汚染・感染症による個体数への影響も指摘されている。

ラッコの絶滅危惧種指定は、人間による乱獲の歴史とその後の保護活動が複雑に絡み合った結果であり、現在も予断を許さない状況が続いています。(参考:IUCN Red List・環境省・WWFジャパン)

日本の水族館のラッコが激減している理由

1990年代の日本では、全国の水族館に合計120頭以上のラッコが飼育されており、水族館の人気者として多くの来場者を集めていました。しかし2024年時点で日本国内に残るラッコの飼育個体数はわずか数頭にまで激減しています。なぜこれほどまでに減ってしまったのでしょうか。

理由①:ワシントン条約による輸入規制

最大の理由が後述するワシントン条約(CITES)による規制です。ラッコはワシントン条約の附属書Ⅰに掲載されており、商業目的での国際取引が原則禁止されています。これにより日本の水族館が新たにラッコを海外から輸入することが事実上できなくなりました。

理由②:飼育個体の高齢化・自然死

ワシントン条約の規制が強化された1990年代以降、新たな個体を補充できなくなった日本の水族館では、飼育中のラッコが老齢化により次々と死亡していきました

ラッコの平均寿命は野生で10〜15年程度、飼育下では20年以上に達することもありますが、1990〜2000年代に飼育されていた個体が2010〜2020年代に寿命を迎えたことで頭数が急減しました。

理由③:繁殖の難しさ

飼育下でのラッコの繁殖は非常に難しいとされています。交配のタイミング・ストレス管理・育児行動のサポートなど、成功させるためのハードルが高く、日本国内での繁殖による個体数の維持が十分に機能しませんでした。

理由④:飼育コストの高さ

ラッコは体温維持のために非常に多くのエネルギーを消費する動物で、体重の約25〜30%に相当する量の食事(魚・貝・ウニなど)を毎日与える必要があります。飼育コストが高く、個体数が減った状況では維持の難しい施設も出てきました。

ラッコの輸入を規制する法律:ワシントン条約との関係

ラッコの取引を規制している最も重要な国際的枠組みが「ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)」です。

ワシントン条約とは

ワシントン条約は1975年に発効した国際条約で、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制することで種の保存を図ることを目的としています。日本は1980年に加盟しており、現在180以上の国・地域が締約国となっています。

ラッコはどの附属書に掲載されているか

ラッコはワシントン条約の「附属書Ⅰ(Appendix I)」に掲載されています。附属書Ⅰとは「絶滅のおそれが特に高い種」であり、商業目的での国際取引が原則として全面禁止されているカテゴリーです。

附属書Ⅰに掲載された種の取引には、輸出国・輸入国双方の政府機関による「非商業目的」の証明と許可証が必要であり、動物園・水族館が純粋な保護・研究目的であることを証明した場合にのみ、例外的な取引が認められる場合があります。しかし実務的にはこの証明・許可取得が非常に困難であるため、日本の水族館が新たにラッコを取得することは事実上ほぼ不可能な状態が続いています。

日本国内の法律

ワシントン条約を国内で実施するための法律として、日本では絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)が1992年に制定されています。この法律のもとで、ラッコを含むワシントン条約附属書Ⅰ掲載種の輸入・輸出・譲渡・販売には環境大臣の許可が必要とされており、無許可での取引は厳しく罰せられます。

現在日本でラッコを見られる水族館はどこか

2024年時点で日本国内でラッコを飼育・展示している水族館は非常に限られています。最新情報は各施設の公式サイトで確認することを強くおすすめしますが、近年ラッコの飼育が確認されている施設として以下が知られています。

  • 鳥羽水族館(三重県鳥羽市):日本で最もラッコの飼育に力を入れてきた施設として知られる。繁殖にも取り組んできた実績がある。
  • マリンワールド海の中道(福岡県福岡市):ラッコの飼育展示で知られる九州の水族館。

飼育頭数は年々変動しており、個体の死亡・体調不良により展示を休止することもあります。実際に見に行く前に必ず各水族館の公式サイト・SNSで最新の飼育状況を確認することをおすすめします。

かつては北海道・東京・大阪・名古屋など全国各地の水族館でラッコを見ることができましたが、現在は「ラッコが見られる水族館」が数えるほどになってしまったのが現実です。この希少さゆえに、ラッコが見られる水族館には遠方からも多くのファンが訪れており、ラッコは今や「会いに行ける幸運な動物」になっています。

ラッコの繁殖・保護活動の現状と課題

日本国内でのラッコの個体数を維持・回復させるために、水族館・研究機関・行政がさまざまな取り組みを行っています。

飼育下繁殖の取り組み

鳥羽水族館をはじめとする日本の水族館では、飼育下でのラッコの繁殖を長年試みてきました。ラッコの飼育下繁殖は世界的にも難しいとされており、成功事例は限られています。繁殖を成功させるためには、オス・メスの相性・発情期のタイミング管理・育児のサポート・ストレスの少ない環境づくりなど多くの課題をクリアする必要があります。

国際的な保護プログラムとの連携

アメリカ・カナダ・ロシアでは野生のラッコ個体群の保護・モニタリングが行われており、米国魚類野生生物局(USFWS)などの機関が中心となって生息域の保護・石油流出対策・漁業規制との調整を進めています。日本の水族館もこうした国際的な保護ネットワークと情報共有を行っています。

課題:遺伝的多様性の確保

飼育個体数が極めて少ない現状では、近親交配による遺伝的多様性の低下が深刻な課題となっています。遺伝的に健全な個体群を維持するためには、国際的な個体の移動・交換が必要ですが、ワシントン条約による規制がその障壁となっています。

ラッコを守るために私たちにできること

環境問題・海洋汚染への関心を持つことも重要です。ラッコの生息域である海洋の水質汚染・石油流出・プラスチックごみ問題は、ラッコをはじめとする海洋生物全体に影響します。プラスチックの使用削減・適切なごみの分別・環境NGOへの支援などがラッコの生息環境保護につながります。

また、ラッコの現状を広く伝えることも大切です。SNSでラッコの絶滅危惧種としての現状・水族館での取り組みを発信することで、より多くの人の関心と支援を集めることができます。

「知ること・伝えること」が保護活動の第一歩であり、ラッコという生き物への愛情を社会全体で共有することがその未来を守る力になります。

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Pati
物事を多角的に捕らえ、幅広い知識と好奇心を持っている。あまり調査が行われていないものも細かく独自に調査し、自分なりにわかりやすくまとめています。今まで調べてきたことの、詳細な備忘録。ジャンル:健康情報/言語学/食/動物/哲学/アート/経済 など。平和主義。オシャレなものが好き。
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